第54話 4つの影。
───王都 中央地区中門前
「──おらおらおら!死ね!人間風情が!」
「ぐっ!ごふっ!」
「頭は俺が喰う!全部集めろ!全部だ‼」
「ぎゃぁぁああ!」
「やめてぇぇえ!」
「がふっ!ぶぁあ!」
血だまりに幾重の死体が重なる。
それは、街中の排水路を満たし、やがて大きな血の川となって流れ出した。
「もっとだ‼ 奪え! 殺せ! 犯せ!」
「─あぁぁぁ……お…と…うさん…んっ……うっ…ん…ぁぁ……あっ」
「きゃぁあ! 来ないで! お願いします‼ 赤ちゃんが! 赤ちゃんがいるの! お願い! やめ……あぁぁぁぁぁぁあ!! …んっ……やめ……んっ……て……や…ぁ…あっ……やめ…て……ぁっ……あぁぁぁ!」
「エクステリオン!」
突如
光が、妊婦を後ろから凌辱するワイバーンを両断する。
「…お……アイリス…様…」
妊婦はすぐにこと切れ地面に倒れこむ、 アイリスが駆け出して身体を支えてゆっくりと寝かせた。
「地獄だわ………。」
吐き出しそうなほどの血の匂いと、生臭い魔物たちの精液の匂いに、顔をしかめながらアイリスは呟いた。
「このままではダメだ。
魔物たちの司令塔を叩かなきゃ…。」
アイリスは踵を返すと、魔物たちの群れの中心に向かって走り出した。
私に勇気を。お兄ちゃん!
****************
「アイリス様! アイリス様ぁ!!」
「ごぶっ!」
次から次へと襲い来る魔物を切り捨てながら、はぐれてしまったアイリスを探している。
アイリスが先ほど初手に放った剣撃で、すっかりアイリスともレインともはぐれてしまった。
無事で居て!
私の身なんていくらでもくれてやる!
アイリス様だけは。アイリス様だけは!
「ぐはっ!」
突然の後ろからの斬撃に、たまらず前回りに転がる。
背中が熱い。かなりやられたみたいだ。
後ろからダークナイトが現れた。
「よぉ人間。ザクザク仲間たちを切り捨ててくれやがって。……女か?こいつはいいや。へへへ。」
肩をぱっくりと切られた為、ハーフアーマーがぶっ飛び、上半身が露にされていた。
ダークナイトはゆっくりとクレアに近づき、髪を掴んで仰向けにした。
上を向いてなお、形の崩れない美しく豊かな乳房が、クレアの荒い息に合わせてリズミカルに揺れる。
「なーるほど。いいもん見っけたぜ。なかなか良さそうだ。へへ。」
身動きの取れないクレアの乳房が、ダークナイトのガントレットで無造作に掴まれる。
「うっ……。」
「いい声出すじゃねーかおい。んじゃぁ。遠慮無く頂いちまうぜ?」
ダークナイトは、下半身を覆うミスリルタイツに手をかけ引き裂いた。
「いやっ!」
思わず声が出る。
恐怖で手足に力が入らない。
あれだけ毎日毎日鍛練して来たというのに、今は凌辱される恐怖しか胸にはない。
ダークナイトはクレアの両足を広げて持つ
「綺麗な色してんなー。お前処女かよ。めんどくせーけどいいよ。俺のんでっかいけどまぁ気にすんなよ?」
そう言ったダークナイトは、成人男性の二の腕をふたつ合わせてトゲをつけた様な異形を、クレアの綺麗な秘所にあてがうと
「いくぜ?俺がイくまで死ぬんじゃねーぞ?」
と、腰を突き立てる。
「嫌ぁぁああっ!!」
「ぐぼっ!!」
瞬間、クレアの目の前が真っ青に染まった。
何が起きたのか分からず、それでも急いで背中の傷も気にしないで上へ逃げる。
見ると、首のないダークナイトがクレアの下半身にうつ伏せで転がっていた。
「えっ?! えっ?」
クレアは焦ってダークナイトを蹴って引き離し、裸のままで建物の壁まで這いずって逃げた。
「セイクリッド・ハイネス・ヒール!」
クレアの身体を蒼白い光が包み込み、身体を襲っていた激痛と震えが嘘の様に掻き消えた。
「えっ?! 何……?」
遥か先に見える4つの影。
この世のものとは思えないほどに美しい、青い髪の美少女が走り寄って来て、私に衣をかけてくれた。
「もう大丈夫よ。安心なさい。」
その安らかな銀鈴の声に気が遠くなる。
気を失わない様に頭を振りながら聞いた。
「…あなたは…?」
その美少女は女神の様にアルカイックな微笑みを浮かべた。
少しずつ足音が近くなり、クレアは朦朧とする目で足音のほうを見た。
「……あなたか…。よ…かった…。」
薄れゆく意識の中、近づく足音が言った。
「お疲れさまクレアさん。ゆっくり休んでていいよ。あとは俺たちに任せろ。」
その幻の様に響いた声は
クレアの意識を絶対的な安心感と、安らかな眠りへと引き込んだ。
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