第20話

 一波乱あったが四つの依頼を達成できた形となる。

 残すは一つ。


 僕達は無事依頼達成できたことに安堵しながらカウンターを後にした。



(案外早く帰ってこれたしスキルの登録も済ませちゃうか……)


 ……依頼報告時、受付のお姉さんにスキルのことは聞かなかった。


 聞くと怒られそうな予感がしたので……。


 リリアンナさんの話ではスキル収得用の専用カウンターがあるそうなのでウロウロすれば自力でも探し出せるはず。


「ここかな?」

「わふっ」


 あまり立ち入った事のない施設の奥へと進み、今まで利用した事のないカウンターを見つける。そんな受付の看板にはスキルカウンターと書かれていた。


「すいません」


「はいっ、いらっしゃいませ! スキルカウンターへようこそ!」


 早速受付の女の子に声をかけてみる。

 依頼カウンターの受付は色っぽいお姉さんだったがこっちは元気一杯の女の子だった。


「えっと僕達はじめてなんですけど」

「説明をお願いしますわん」



「わかりました! ご説明いたしますのでこちらへどうぞ〜!」


 受付の女の子に促されるままに応接室のような場所へと案内される。


 女の子は僕達が部屋へと入ると準備のために一旦その場を離れていった。

 僕達はソファに腰掛けて女の子が帰って来るのを待つ。


「お待たせしましたっ。ではこちらをお持ち下さい」


 しばらくして戻ってきた受付の女の子の腕には金属の板が二枚抱きかかえられていた。それを僕達に配ってくれる。



「タブレット?」


「平べったいです」


 手渡された金属の板は端的に表現するならタブレットにすごく似ていた。

 コロはそれを持ち上げて裏から覗き込む。


「まずその板の上に掌を置いて下さい」


「こう? おおっ!?」

「光りましたっ」


 受付の女の子の指示に従って板の上に掌を乗せると板全体が淡く輝いた。


「はい、それで起動しました。後はそのスキルボードの説明に従って操作すれば問題ありません。スキルのセットが終了するまで私もこちらにいますのでわからないことがあれば聞いてください!」


「ありがとうございます」

「わかりましたっ」


 受付の女の子が見守る中、僕達は早速スキルボードを操作していくことにする。

 起動させた画面には説明文が表示されていたので読み込んでいく。


(ふむふむ。このボードを使ってスキルをセットするってことなんだな)


 どうやらこのタブレットもどきを使って戦闘に役立つ技能を収得するらしい。



(ほうほう……、自分で覚えたりするわけではないんだな)


 説明文よると、まず、冒険者になると自動的にスキルホルダーというものを五個持った状態になるらしい。その空きホルダーにスキルをセットすることで戦闘に特化した技能が使えるようになるそうだ。


 スキルはボードから選択して購入する形となる。

 購入に際しては個人が持つスキルポイントというのを使うとのこと。


(ふむ。で、実際どんなスキルが買えるんだろう)


 早速、購入画面を出して見てみる。




 すると――



 ●最適化系(ホルダー数に関わるもの)


【ホルダー追加】

 コスト5 (ホルダーの最大数を1増やす。最大7)


【スキル圧縮】

 コスト5 (スキルの必要ホルダー数を一つ減らす。ホルダーが1の場合は無効)


【スキル削除】

 購入時と同コスト (購入してセットしたスキルを削除する)




 ●お得セット(コスト4のものをコスト3で購入可能。複数購入不可)


【戦士セット】

 コスト3(【剣術】【防御】【膂力上昇】をセット)


【魔法使いセット】

 コスト3(【初級攻撃魔法】【魔力上昇】をセット)


【僧侶セット】

 コスト3(【初級回復魔法】【魔力循環】をセット)


【盗賊セット】

 コスト3(【弓術】【索敵】【鍵開け】をセット)




 ●ホルダー使用数1(必要ホルダー数1のスキル)


 ・物理攻撃系


【剣術】

 コスト1(剣の扱いが上手くなる)


【槍術】

 コスト1(槍の扱いが上手くなる)


【斧術】

 コスト1(斧の扱いが上手くなる)


【弓術】

 コスト1(弓の扱いが上手くなる)


【格闘】

 コスト1(素手の戦いが上手くなる)


【投擲】

 コスト1(武器を投げるのが上手くなる)




 ・魔法系


【生活魔法】

 コスト1 (家事に関する魔法が使用可能。掃除、温風、洗濯、着火等)


【初級攻撃魔法】

 コスト2 (小威力攻撃魔法使用可能)


【初級回復魔法】

 コスト2 (小威力回復魔法使用可能。解毒魔法使用可能)




 ・探索系


【索敵】

 コスト1 (敵の気配を感じ取る)


【鍵開け】

 コスト2 (鍵を開ける技術を取得)


【夜目】

 コスト2 (暗いところでも見える)


【望遠】

 コスト2 (遠くが見える)




 ・防御系


【防御】

 コスト1 (防御行動がうまくなる)


【回避】

 コスト2 (攻撃をかわすのがうまくなる)


【魔法耐性】

 コスト1 (魔法が効きにくくなる。回復魔法も効きにくくなる)


【毒耐性】

 コスト1 (毒に耐性ができる。回復薬も効きにくくなる)




 ・特殊系


【魔力循環】

 コスト2 (魔力の自然回復速度が上昇する)


【魔力制御】

 コスト2 (魔力の制御がうまくなり、魔力消費を抑える)


【膂力上昇】

 コスト2 (力が強くなる)


【魔力上昇】

 コスト2 (魔力が強くなる)


【体力上昇】

 コスト2 (打たれ強くなる)


【敏捷上昇】

 コスト2 (素早くなる)


【スタミナ】

 コスト2 (疲れにくくなる)


【精密射撃】

 コスト2 (命中力が上がる)




 ●ホルダー使用数2(必要ホルダー数が2のスキル。コストは全て3)


 ・物理攻撃系


【溜め】

(力を溜めて全力の攻撃を行う)


【闘気】

(魔力を武器に纏わせ少しリーチを伸ばす)




 ・魔法系


【中級攻撃魔法】

(大威力単体攻撃魔法、小範囲攻撃魔法使用可能)


【中級回復魔法】

(中威力回復魔法、補助魔法使用可能)




 ・防御系


【耐える】

(攻撃に当たってもひるまない)


【障壁】

(魔力で盾を作り出す)


 ・・・

 ・・

 ・


 といった感じだ。



 要は五つの穴に購入したスキルをはめ込んで装備するイメージだ。

 スキルには一つの穴で足りるものもあれば二つ以上の穴が必要なものもあるって感じなのだろう。


(スキルを購入するにはスキルポイントが必要って書いてあるけど……)


 と、自分が今持っているポイントを確認する。

 すると、現在僕のスキルポイントは一六と出た。



「あの、スキルポイントはどうやって増やすんですか?」


 お金で買ったりするのだろうか。

 気になった僕は受付の女の子に尋ねる。


「不明です」

「え?」


「ポイントが増えたという報告は上がっているのですが確実な方法は判明していません。人によって持っているポイント数も様々で、現在までハッキリとした事がわかっていない状態です。一応、モンスターを倒すとポイントが増え易いというジンクスはありますね」


「そ、そうですか」


「ですのでスキル購入の際は充分吟味してからにしたほうが良いですよ」

「あ、ありがとうございます」


 受付の女の子の説明を聞いて僕は一つの予測を立てる。


(ってことは多分レベルが絡むんじゃないかな……)

 この世界の人達はレベルの事を知らないようだった。


 だが僕のステータスや簡易鑑定を信じるならモンスターを倒すとレベルが上がるらしい。つまりレベルアップのタイミングで何分の一かの確立でボーナスとしてポイント増加があるのではないだろうか。


 そう考えると皆の手持ちポイントがバラバラなのも一定の法則が見つかっていないのも頷ける。しかもポイント増加ボーナスの当選確立が結構低いのではないだろうか……。


 僕は今レベル五〇を超えているがそれでも手持ちは一六ポイント。

 かなりの低確立だ。


(まあ、あんまり気にしてもしょうがないか……)


 あくまでも推測だし案外ポポーンと一〇〇ポイントくらいゲットできるかもしれない。はっきりわからないのに憶測で悩んで慎重になるのもどうかと思う。



 今の僕の手持ちポイントなら余裕で五つのスキルを購入できた上にホルダーの追加やスキルの圧縮もできるし、あまり悩んで慎重になりすぎても仕方ないだろう。


 ……しかし数が多すぎて何を購入したらいいのかわからない。


 ここはお得な職業セットを試しに購入してみるのがいいのではないだろうかと考える。コスト一つ分お安くなるからお買い得だしね。


(じゃあ戦士セットでいってみるか)

 と、僕はあまり考えずに戦士セットを購入してみる事にする。

 一番無難そうだし、ダメなら消せばいい。


(これでいいのかな?)


 タブレットの指示に従いって操作していき、【こちらを購入しますかY/N】と最終確認が表示される。


 僕は迷わずYを押すもブーッと警告音のようなものが鳴ってしまう。



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