No.11『午年になった頃の話』

佐原「ついに、ついに俺の年が来たのだ!」


根岸「おやケンタウルスさん、新年から元気ですね」


佐原「今年の干支が何か知っているかね!」


根岸「ええと……」


佐原「そういう小ボケはいいから!」


根岸「いやボケてないんだけど、なんだっけ今年」


佐原「巳年の次だよ次!」


根岸「ああ!」


佐原「うんうん」


根岸「ねーうしとらうーたつみー、の、次か」


佐原「YES!」


根岸「ねーうしとらうーたつみー……」


佐原「うん、うん!」


根岸「ねずみ?」


佐原「違うよ! 一周しちゃったじゃん! 十二支なのに六匹じゃん!半分じゃん!」


根岸「AMとPMみたいな」


佐原「うま! 午年ですぅー!」


根岸「ねーうしとらうーたつみー、うま……うま……ねーうしとらうま?」


佐原「トラウマじゃない! いやもうねーうしとらうーはいいよ!」


根岸「そうかい。 んで? 午年がどうしたんだ?」


佐原「俺が何の動物だか知ってるか?」


根岸「ケンタウルス」


佐原「そう、上半身が人間! 下半身が馬! つまり今年は俺の――」


根岸「じゃあ馬でも人間でもないじゃん」


佐原「―――!?」


根岸「人間なの?」


佐原「え、いや、ケンタウルス」


根岸「馬なの?」


佐原「いや、ケンタウルス……」


根岸「人間でも馬でもないじゃん」


佐原「い、いや、人間でも馬でもあり――」


根岸「自信持てって、お前はケンタウルスだよ!」


佐原「お、おう」


根岸「人間でも、馬でもない、ケンタウルスだ! それはとても素敵なことだぞ!」


佐原「お、おう、ありがとう」


根岸「で、今年の干支がなんだって?」


佐原「ええと……」





閉幕

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