2 ネコの日々

我々ネコも農業を行う。

人類のように。

もっとも、人類と違って多様な作物は要らないし、作業は概ね、作業専用ロボット任せだ。

広い施設内に農場があって、ときどき様子を確認するのが、ロボットたちの仕事。

ネコクサとマタタビは嗜好品、少量のイネはネコマンマ用。不思議と、たまに、わりとしばしば、どうしても食べたくなる。人類と暮らしていた頃の記憶が、遺伝子レベルで刻まれているんだとか。

そうなんだろうと思う。

事実、迂闊にマタタビの傍に寄ろうものなら、たちまちみんな酔っぱらって、わけがわからなくなる。

だからなおさら、ロボットが不可欠なんだ。

ロボットの多くには、最初からヒトノテが付いている。

ヒトガタが多かったし。

人型ロボットだからヒトガタと呼んでる。

もちろん、ヒトガタじゃないのも居る。

多脚型とか、車輪式、無限軌道式とか。

我々は幼い頃からヒトノテの使い方を、ヒトガタから学ぶ。

人類本来の動きは人類から学ぶのが合理的だった。

ネコ同士でも教え合うけど、それは、基本的な使い方を習得したあとの、コツのレベルの話。

箸を使えて一人前。

缶切りとか。

猫缶を開けなきゃいけないだろ?


狩猟は概ね我々ネコがするけれど、加工にはロボットが不可欠。

魚も鳥も鹿も兎も猪も、獲ってきた肉はみんな、缶詰になる。工場で加工されるんだ。ロボットに管理された衛生的な生産ラインだから、塵も埃も、ネコの毛一本も混入したりはしない。

立派だろ。

人類が遺した「猫の生活保全計画」に於いて、発案の段階で既に缶詰が採用されていた。その缶詰の名前が「猫缶」だと知った「最初のネコ」たちは、缶の中身に怯え困惑したという。

鳥は鳥缶、鹿は鹿缶、兎は兎缶、鮪缶に鯖缶。

じゃあ、猫缶は、って。

我々だって、「ネコ用の缶詰」のことだと分かっていても、この字面を見る度に全身の毛がざわざわする。

呼び名、そろそろ変えないのかな。


我々は人類のように油で調理したり生で食べたりはしない。

できなくはないけど健康に悪いから。

映像で見た人類の中には、油で調理した食事のせいでたっぷりと肥ったのが大勢いた。

肥った者をデブと呼ぶ。

デブは運動性能も落ちて心肺機能その他全てに負担が掛かるから、健康に悪い。

科学的に証明されているんだ。

人類が滅びた要因のひとつだと言われてる。猫さえもデブが原因で死んだとか。

記録に拠れば。

気をつけよう。

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