夜をとりかえっこ

夜。

音のない部屋で、僕は

言いようのない不安に襲われる。

人から見たら、何不自由ない暮らしだから

不平不満を口にするのは はばかられるし、

僕には大事な人がいるから

君に会いたいなんてことは誰にも言えない。


何不自由ないはずなのに 満たされなくて、

人はそれをゼイタクだとか言うんだろうけど

だけどそれでも、この『満たされない』という気持ちは

消えるどころか 一向に減らなくて、

減るどころか ますます増えて僕を苦しめるんだ。


僕がこんな夜を過ごしているだなんて誰もしらない。

でも誰かに知ってほしいんだ。

誰かの胸にそっとしまってほしいんだ。


そうすることで救われるとか、気持ちが軽くなるだとか

そんな奇跡は願っちゃいないけど、

こんな夜があるという話を、

あなたは ただ静かに聞いてくれるかい?


もしも聞いてくれるなら、僕もあなたの話を聞くよ。

こんな夜の、ほんのひとカケラを とりかえっこしようじゃないか。


~夜をとりかえっこ~

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