第八十二話 セルジオからのお誘い



 町の中心部は、襲撃の爪痕が残りながらも、明るく賑わっていた。

 もう既に立て直し作業に入っている箇所もあり、人々の活気は衰えるどころか、むしろ増しているようにも思える。

 店舗が壊れたため、路上にシートを引いて品物を並べ、笑顔で力強く商売をしている人も見られた。耳を澄ませてみると、少しでも売れるモノを売って、立て直すための金を作らないといけないと、店の再建に意気込みを見せていた。

 人ってこんなに力強いモノなんだなと思いつつ、マキトはギルドの建物を見上げる。大木そのものを建物としているギルドは、殆ど被害は出ていなかった。

 中に入ると、冒険者たちの凄まじい喧騒が響いてきて、マキトは思わず驚いて尻込みする。すぐに気を取り直してカウンターへ向かうと、受付嬢が出迎えてきた。


「こんにちはマキトさん。お待ちしておりました」


 受付嬢は丁寧にお辞儀をして、マキトたちをギルドの奥へ案内しようとする。


「ギルドマスターが、皆さんとお話ししたいそうです。こちらへどうぞ」

「え、は、はい……」


 マキトたちは若干戸惑いつつも、受付嬢の後ろをついて歩く。そしてウェーズリーの部屋に案内され、緊張気味にソファーに腰かけた。


「済まんな。急にこんなところまで誘い込んでしまって」

「いえ、別にそんなことは……それで、俺たちに話したいことっていうのは?」

「ウチの女王から預かった特別報酬金を渡すことだ。少ないかもしれんが、どうかこれを収めてくれ」


 ウェーズリーは硬貨がギッシリ詰まった袋をテーブルに置く。ズシンという重々しい音がマキトたちを驚かせ、試しに中を見てみると、更にその目を見開かせる。

 完全にドン引きしている表情を浮かべ、マキトはウェーズリーに言う。


「……フツーに多すぎる気がするんですけど……」

「せめてもの気持ちということだろう。気にせず受け取っておきなさい」


 小さく笑いながら、ウェーズリーは言う。まるで他人事だとアリシアやコートニーは思ったが、実際そうなのだろうとも思えていた。

 ウェーズリーはあくまで、女王からの頼まれごとをこなしただけ。別に他意はない。少なくともマキトは袋を受け取ったため、この話は既にひと段落しているということになる。つまり、これ以上自分たちと話すことは何もない。

 アリシアがそう思う中、隣ではマキトと三匹の魔物たちが、袋の中身に驚いていた。

 滅多にお目にかかれないほどの大きな金額を示す硬貨も入っており、それはマキトがこの世界に来て初めて見る硬貨でもあった。あまりの珍しさ故に、マキトと三匹の魔物たちは、目をキラキラと輝かせている。

 そんな彼らの姿を見たアリシアとコートニー、そしてウェーズリーも、揃って苦笑を浮かべるのだった。


「時にマキト。お前のことはセルジオからも聞かせてもらっておる。魔物使いとして、着々と腕を磨いておるようだが……今後どうしていくかという、お前なりの考えは何か持っていたりするのかね?」


 まるで試すような視線を向けてくるウェーズリーに、聞かれてないハズのアリシアやコートニーが、思わず視線を伸ばしてしまう。一方当のマキトは、特に臆する様子も見せずに、そうですねーと斜め上を見上げながら呟くように言う。


「あるようなないような……そんな感じですかね」

「そうか? 多くの冒険者たちは、強さや名声を求めたりする者が多いが……」

「いや、正直なところ、俺はそういうのはあんまり」


 迷いなくキッパリと言い切ったマキトに対し、ウェーズリーは内心で小さく戸惑う。アリシアやコートニーも同じであった。それに気づくこともなく、マキトは見上げてくる魔物たちに視線を送りながら、更に語る。


「誰よりも強くなりたいとか、一番に偉くなりたいとか、世界の平和を守りたいとか、そういうのは俺、全然興味ないです。ただ……」


 マキトは三匹の魔物たちを愛おしそうに抱き寄せながら、噛み締めるように言う。


「コイツらと楽しく過ごしたい、もっと色んな魔物と友達になりたい、とは思ってますけどね。後は単純に、自由気ままに旅がしたいって気持ちが一番かなーって……」


 楽しそうに笑うマキトに、ウェーズリーも小さく噴き出しながら笑みを浮かべる。


「なるほどな。まぁそれもまた一興だろう」


 この少年のらしさが出ている。それがウェーズリーの率直な感想であった。

 正直、マキトに対して一筋の不安を覚えていた。腕を上げて強さを得る者は、喜びを覚えると同時に、何かしらの野心を抱きがちだからだ。

 エルフ族においては、魔導師にその傾向がよく見られる。ビーズがまさに良い例だと言えるだろう。溢れる才能が変な考えを引き起こし、やがて止めることすら叶わず闇に飲み込まれてしまう。ウェーズリーは過去にも、そういった者をたくさん見てきた。

 他の冒険者たちも例外ではなく、現段階で不安に思う者も少なくない。もしかしたらマキトもその一人ではと思っていたのだが、今のところは大丈夫そうだとウェーズリーは思った。

 少なくとも今のマキトからは、野心など全く感じられない。そもそも野心そのものに興味がないようにも見える。

 あるとすればそれは、旅と魔物と新しい発見。恐らく彼は意識もしていないだろう。気がついたらその三つを求めており、今に至るのだとウェーズリーは思った。


(まぁ、野心を抱く者たちも、大抵は意識などしておらんのだろうがな……)


 ウェーズリーの脳裏に、今回の騒ぎの黒幕たちの姿が思い浮かび、思わず小さな笑みを浮かべてしまう。

 マキトたちが首を傾げていることに気づき、ウェーズリーはコホンと咳ばらいをして表情を引き締め、改めて穏やかな笑みをマキトたちに向ける。


「話はこれで以上だ。ワシからも改めて、女王を助けてくれたことに対して礼を言う。これからも、お前たちの頑張りに期待しているぞ」


 ウェーズリーの言葉に、マキトたちは一瞬それぞれ顔を見合わせ――


『――――はい!』


 声を揃えて明るくハッキリと、笑顔で返事をするのだった。



 ◇ ◇ ◇



 ウェーズリーの部屋を後にしたマキトたちがロビーに戻ると、セドとバウニーの姿があった。フィリーネからクエストの清算ぐらいはちゃんとするよう諭されたらしい。

 ちなみにセルジオとブレンダも同行しており、冒険者たちの相談を聞いていた。二人はエルフの里において、立場が高いということもあり、ファンも多いのだ。

 セド曰く、二人がギルドに入ってきた瞬間、喧騒がピタッと止んだらしい。

 そんな話を聞きつつも、マキトたちは薬草集めのクエストの清算を行っていた。


「これでギルドカードの更新は完了です。クエスト達成、お疲れさまでした」


 受付嬢から報酬金の入った袋をマキトが受け取る。ギルドカードがそれぞれ更新されていることを確認したセドは、バウニーを抱きかかえながら告げる。


「じゃあ済まないが、僕たちはすぐに王宮へ戻らせてもらう。報酬はキミたちで山分けしてくれ」

「良いのか? セドも一緒に頑張ったじゃないか」

「しばらく冒険に出られないからな。受け取っても使うヒマがないさ」


 そういわれてしまえば、マキトも頷くしかなかった。お言葉に甘える旨を告げると、セドは満足そうに頷きを返し、そして改めて表情を引き締める。


「じゃあな。色々と世話になった。またいつでも、王宮に遊びに来てくれ」


 セドはそう言って、バウニーとともにギルドを後にした。

 見送ったマキトたちは、そのまま空いているスペースに移動して、報酬金の山分けを済ませる。それぞれ硬貨をしまったところで、次にどうするかを話し合うことに。


「で、どうする? 晩ごはんでも食べに行くか?」


 マキトが窓の外を見ると、すっかり日が落ちて夜となっていた。

 昼過ぎにサンドイッチしか食べてないせいか、妙に空腹が襲い掛かっている。マキトの意見は満場一致で大賛成となった。

 しかしここで一つ、アリシアが懸念していることがあった。


「気になるのは、レストランがやってるかどうかだけど……」

「確かに……昨日の今日だから、ちょっと厳しいかもしれないね」


 コートニーがアリシアの意見に同意する。

 流石に全部のレストランに被害があるわけではないだろうが、店を開いている箇所がいつもより少ないのは確実だ。そうなれば自然と、どの店もいつも以上に人が入っている可能性が高い。仮に今から探して見つけたとしても、かなりの時間を待たされることだろうと、アリシアは予測した。

 とはいえ、ここでずっと考えたところで、どうにもならないことも確かであった。


「……歩きながら考えるか?」


 マキトがそう尋ねると、アリシアたちは賛成を込めた頷きを返す。席を立ってギルドを後にした。

 外は一段と賑やかさが増していた。見渡してみると、あちこちに食べ物の屋台が開かれており、焼き上げた肉の香ばしい香りが風に乗って漂ってくる。

 店が壊れちまったから屋台で勘弁してくれ。そんな野太い男の明るい声が聞こえた。

 人々の笑い声が飛び交い、楽しそうな声が場を盛り上げる。お祭り会場みたいだなとマキトは思った。


「ねぇねぇマキト、ちょっと見てきてもいい?」


 アリシアがワクワクした表情でマキトに尋ねてくる。明らかに一緒に行かないような言い回しだが、これには普通に理由があった。


「いいよ。コートニーも行ってきなよ」

「じゃあお言葉に甘えて……」

「行ってきまーす♪」


 アリシアとコートニーは、屋台に群がる人ごみの中に消えていった。

 そして残されたマキトと魔物たちは、マイペースにその場を見渡しながらのんびりと歩き始める。

 近くの屋台に顔を出し、肉の串焼きやサンドイッチなどを見繕い、さっさと人ごみから遠ざかった。そして傍にあった休憩用のベンチに腰掛ける。

 マキトはうんざりとした表情で、深いため息をついた。


「……なんつーか、これってもうお祭りそのものだな」

「えぇ。ここまで楽しそうに騒げるのは、ある意味凄いと思うのですよ」

「確かにな」


 ラティの言葉にマキトが同意する。肉の串焼きにかぶりつきながら、流れていく人々の光景をボンヤリと見ていた。

 足元ではロップルがサンドイッチを頬張っており、スラキチは大きな果実にかじりついている。お腹も満たされてきて、満足そうな笑みを浮かべていた。


「こんなに凄い人混みは、この世界に来て初めてかも……」

「マスターは人が多くて賑やかすぎる場所って、あまり好きじゃないですもんね」

「まーね」


 そしてこれこそが、アリシアたちが最初からマキトたちと一緒に屋台を巡らなかった理由でもある。一緒に旅をしてきたことで事情も知っており、お互いに納得しているが故の行動であった。

 ちなみにマキトがギルドでゆっくり過ごさないのも、これが理由だったりする。

 大抵人が多くて賑やかであるギルドは、マキトにとっては落ち着かない場所の絶対的候補なのだ。

 冒険者からしてみれば、ギルドは自分たちの家も同然であり、備え付けの酒場などでのんびり過ごす選択肢も珍しくない。しかしマキトの場合、あくまでクエストを受ける場所でしかなく、用事が済んだらさっさと出るという考えに固定されていた。

 もっともそういう考えを持つ冒険者も珍しくなく、アリシアもコートニーもそれほどギルドでのんびりしたいタイプではない。仲間や家族の付き合いで同席する程度だ。

 二人はマキトほど人混みが苦手なワケでもないため、現在こうして分かれて行動しているということであった。


「国境も人は多かったですけど、こんなに賑やかではなかったですよね」

「あぁ、それに広々としていたから、普通に平気だったけど……これはなぁ……」


 目の前に広がる賑やかすぎる人混みを見て、マキトは再度ため息をつく。


「やっぱりどうしても、人の多いところは馴染めそうにないや」

「なるほどな。やはりお前さんも『そのクチ』だったか」


 突如かけられた声に振り向いてみると、セルジオが立っていた。その手には大量の酒とつまみが抱えられており、それらを地面にドスンと置いた。


「ふぅ、突然の恐怖が去ったことで、皆揃ってタガが外れておるのだろうな。だがまぁ今日ぐらいは良いだろう。ワシもこうして酒を楽しめるからな」


 むしろそのために、周囲の状況を建前にしたようにも聞こえてくる。マキトやラティから見ても、とにかくセルジオ自身が酒を飲みたいだけだとしか思えなかった。

 少年のようにワクワクした表情を浮かべ、鼻歌を歌いながら最初の酒を選別しているその姿を見れば、恐らく誰もがマキトたちと同じ感想を抱いたことだろう。

 ロップルとスラキチが、セルジオの意気揚々としている様子に驚いており、マキトの膝の上にそれぞれ飛び乗った。

 そしてラティが心配そうな表情でセルジオに言う。


「飲み過ぎは体に悪いのですよ?」

「なーに、ワシを誰だと思っておる。これぐらいどうってことないわい」


 間髪入れず、セルジオはケラケラ笑いながらそう返した。もはや酒に関しては、聞く耳すら持っていないのだろう。

 ラティも勝手にすればいいのですと呟きながら、ため息をつくのだった。

 ここでマキトは、いつも彼の傍にいる人物の声が聞こえてこないことに気づいた。


「……ブレンダさんは?」

「見回りだ。人手が足らんとのことで、アイツが自ら申し出たのだ。恐らく今頃は、どこぞで酔っぱらいのケンカの仲裁でもしておるだろう」


 それを聞いた瞬間、マキトはその光景が頭の中に浮かんできた。確かにブレンダならば普通にあり得そうだと思った。そして何故だか、ブレンダらしくて凄く良く似合っていることも。

 セルジオは最初の酒を選別したところで、少しだけ笑みを落とした。


「まぁ、そんなことよりもだ。ワシはお前さんと少し話がしたくて探しておったのだ。少しばかり付き合ってはくれんかの?」

「いいよ。することないし、じいちゃんの話に付き合うよ」

「ホッホッホッ、ありがとうな」


 早速セルジオはボトルの栓を開け、豪快に酒を煽り始める。そしてつまみの乾き物を口に放り込み、カリコリと噛み砕く音を響かせた。

 マキトもつまみをセルジオから分けてもらい、試しに食べてみる。

 香ばしくて塩気の聞いた木の実の味が、とても美味しくてクセになる。どうだ、これは美味いだろうと言わんばかりに、セルジオがニヤリと笑いながらつまみの入った袋を差し出すと、マキトは迷わず中身に手を伸ばしていった。

 ラティたちもつまみを分けてもらい、それぞれ美味しそうに食べていると思いきや、以外にもスラキチが微妙そうな表情を浮かべていた。

 どうやら食べ物の好みが合わなかったらしい。口直しがてら、いつも持ち歩いているスティック型の携帯食料を一本差し出すと、スラキチはいつものように喜んで、それにかぶりついていた。


「ふーむ。どうやらスラキチには、このつまみは向いておらんようだな」


 セルジオがつまみを一口放り込みながら言うと、スラキチが見上げてきた。


「ピキーピキー」

「なんか歯ごたえがヤだ、って言ってるのです」

「ハハッ、そうか、そういうことか。まぁ気にするな。好みの違いはよくあることだ」


 ラティの通訳に納得したセルジオは、豪快な笑い声をあげる。そして咳ばらいを一つして、マキトのほうを向いた。


「ところでマキト。ワシからお前さんに、一つ提案したいことがあるのだが……」

「提案?」

「うむ。もしお前さんが良ければ、エルフの里に来てみんか?」


 まさかの誘いの言葉に、マキトもラティたちも驚く。セルジオもその反応を予想していたらしく、スマンスマンと言いながら詳しく話し始めた。


「王都もこの有様故に、しばらくの間は落ち着かんだろうからな。あそこは緑豊かで、お前さんたちにとっても過ごしやすいと思う。自然観察に魔物との触れ合い、冒険者の修行する姿をその目に焼き付けるなど、色々と勉強にもなるだろう。まぁ、特に何かをしろと言うつもりもないがな」


 そんなセルジオの話を聞いて、マキトは少しばかり興味を抱いていた。


(エルフの里か……)


 いつかは遊びに行ってみたいとマキトは思っていた。まさかこんなすぐにタイミングが訪れるとは予想外だったが。

 里をしばらく拠点として、あちこち散策してみようかと考えてみる。

 薬草や木の実などを集めたり、野生の魔物と触れ合ったり。もしかしたら新しく仲間にできる可能性だって、十分にあり得るだろう。


「マスター」


 ラティがマキトの服の袖を掴みながら見上げてくる。数日前、キラータイガーの群れのところでラティが言ったことを思い出した。


(そうだな……これも良い機会か)


 マキトはそう思い、小さく笑みを浮かべながら決めた。


「行ってみるか、エルフの里」


 その言葉にラティたちは、大賛成と言わんばかりに輝かしい笑みを浮かべる。

 傍で聞いていたセルジオもまた、酒のボトルをグイッと煽り、納得だと言わんばかりに頷いた。


「決まったようだな。ささやかながら、歓迎の準備をしておこう」

「ありがとう。それからその……十年前に起こった事件とやらについても、少し調べてもらえないかな? やっぱり俺も、ちょっとばかり確かめてみたくなってさ……」

「おぉ、勿論構わんとも」


 セルジオがやや驚きつつも、嬉しそうに答える。

 元々個人的に気になっていたことでもあり、堂々と調べる理由ができたのだ。おまけに本人が訪れるとなれば、歓迎する準備もしたいと思っていた。

 できることなら、すぐにでも里へ飛んで帰りたかったが、流石にもう夜も遅いため、明日の朝を待つしかない。もどかしさを紛らわすため、セルジオが新しい酒の栓を開ける中、ラティがマキトに話しかける。


「アリシアたちにも、このことを教えないといけないですね」

「そうだな。エルフの里へ一緒に……あ」


 マキトが何かに気づいたような反応を見せ、それにセルジオが首を傾げる。


「どうかしたのか?」

「いや……アリシアはもしかしたら、俺たちとは一緒に行かないかもしれない。確か、ラッセルたちを待ってるって言ってたような気が……」

「……そういえばそうでしたね。すっかり忘れてたのです」


 気まずそうに言うマキトに、ラティも苦笑する。

 セルジオは彼らの事情をそれほど把握してはいないが、今のマキトたちのやり取りを聞いて、なんとなく察しはついていた。

 もっともあくまで彼らの話題であるため、特に口を出すこともしなかったが。


「とりあえずマキトと魔物たちが来ることは、確定でよさそうだな。ワシとブレンダは明日の朝一番に、馬車に乗って里へ帰ろうと思っておる」

「俺たちは歩いていくよ。キラータイガーたちの様子もちょっと見に行きたいし」

「そうか。それもまた良いだろう。里までは殆ど一本道で、歩いたとしても一週間ほどで到着できる。里で会えるのを楽しみに待っておるぞ」


 セルジオの笑みに、マキトたちも笑顔で頷きを返した。

 収まる気配が全くない喧騒を聞きながら、セルジオがマキトにミルクの入ったビンを手渡し、自身の持つ酒のボトルと軽く打ち付け合って乾杯する。

 こうして次の目的地が決まったマキトたちの夜は、思いのほか楽しい時間となって流れていくのだった。


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