第98話 里帰り(その3)
「だよねーっ!」
A子は思わぬ援軍の登場に、嬉しそうにC子の頭を撫でまくった。
「名前なんて別にいいじゃんーっ」
「……でもお嬢様、ご主人様の名前、少しは気になりません?」
B子が意地悪そうに笑いながら言うと、C子を撫でるA子の手がピタリと止まる。
「……アンタはご主人様の名前知ってるワケ?」
「そりゃあ当然」
「ボクもしってます」
「え」
「金屋子神さまからきいています」
「なん……だと……っっ?!」
A子の霊圧が消えていった、そんなキャプションが付きそうな戸惑いぶりである。
「つまりこの場でご主人様の名前を知らない人はお嬢様だけ、うーふーふー」
B子は意地悪そうに笑う。
「べ、別に知らなくてもいいじゃないっ!」
「でもしっておいてそんはないですよねぇ」
「うっ…」
たまらずA子はすがるようにご主人様の方を見た。ご主人様は思わず目を背けた。
「何故こっちを見ないご主人様」
聞かれるも、困っているA子の姿が面白すぎるとは言えないご主人様は口笛を吹いて誤魔化す。
「何その態度」
今度はB子たちの方を見た。
「先輩の特権です、あんたたち教えなさい」
「えー」
「うーん」
B子はともかく、人の良いC子も場の空気を読んで答えようとしない。
「オァーッ!」
「……どうでもいいがどうやってうちにやってきたんだA子」
もっともな質問をするご主人様。
「あの時は引越業者と一緒に来たので」
「引っ越し業者……あの黒服が?」
「祖父が手配した業者だから詳しくは知りません」
「さよか」
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