第48話 敵、襲来(その3)
突如現れた謎の、新たなご主人様のメイド。
しかしご主人様もA子もそんな話は聞いておらず、戸惑うばかりであった。
「私は――」
少女はA子に一瞥をくれ、咳払いをする。
「……お嬢様のサポートとしてやって参りました」
「お嬢様?」
ご主人様ばかりかA子も辺りをキョロキョロ見回す。
「「……誰?」」
すると少女はA子を指し、
「貴女です。我がある……否、お爺様からのご命令です」
「じーじーぃーいっ?」
A子は物凄く嫌そうな顔をする。
「お嬢様は確かに何でもこなせる方ですが、限度を知らなかったり、ピントの外れた事をしていないか心配しておられました。
そこでこの私が監視役として来ました」
「かんしやくぅぅ? 要らんわっそんなの!」
珍しくA子が苛立っていた。
「だいたい、実家から来たって言う割に、私はアンタの事は見覚えがないんだけど?」
「そうでもありませんよ。私はお嬢様の事はよく知っています」
少女はニコニコ笑いながら答えた。
「子供の頃から、ずうっと観てましたから」
「こーどーも?」
困惑するA子。本気で覚えがないらしい。
「それとですね、ご主人様の“ご実家”の事も」
「?」
ご主人様も困惑する。ただ、A子のそれとはやや違う風に、であったが。
「惚けなくてもいいのですよ。“ご実家”のご職業はその筋には有名な名家ですし。今回はそちらからも依頼されてます」
「依頼、って……」
「当然じゃないですか、ここのメイドとして雇われたのですから」
「はあ」
しかしご主人様は釈然としない。
「いずれにせよ、この様子ですとお爺様が危惧なされた通りやりたい放題だったようですね」
そう言うと少女は部屋に上がり込み、中を把握しているように台所に向かって行った。
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