第46話 敵、襲来(その1)
日曜の夕方、それは突然やってきた。
「……何この気配」
掃除機で掃除中だったA子は、玄関から届くその奇妙な気配に気づき、面を向けた。
「……誰?」
掃除機を置き、A子は玄関に向かう。
「誰か来たのか?」
台所から缶ビール片手に出てきたご主人様は、A子の様子に気づいて聞いてみた。
「……敵です」
「……敵って、おい」
「敵です」
ご主人様に聞かれても、A子は玄関に向いたまま素っ気なく答える。
「変なセールスマンでも来たって事か」
「そんなもん敵のうちにも入りません。余裕で蹴散らします」
「蹴散らすって……」
「いいからそこでお待ちを」
「お、おい」
ご主人様は慌ててA子を追いかけた。
A子は玄関のほうを険しい顔で睨んでいた。
「穏やかじゃないなぁ」
ご主人様は肩をすくめたみせた。
「とにかく敵です」
「つーかそもそもここは1階の玄関でロックされてて部外者が立ち入り出来ないだろ。ご近所様だろ」
「あ、待って下さいご主人様」
A子が止めるが、ご主人様は普通に玄関の扉を開けた。
そこに立っていたのは、一人の黒髪の眼鏡をかけた少女だった。
「どちら様で?」
ご主人様は不思議そうに訊く。ご近所だと思っていたが、どうにも記憶が無い。
どこか物憂げな面差しの少女はご主人様の顔をじっと見つめたまま黙っていが、やがて穏やかな笑みを浮かべてこう言った。
「……あなたがご主人様ですね」
「……え?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます