総角 その二十六

「亡き父宮もたとえ生涯心細く過ごそうともかえって人の物笑いになるような浅はかな考えを起こすのではないなどとご意向をご遺言なさいましたが、父宮ご在世中は私たち姉妹が絆になって勤行のお心を乱した罪さえとても重いので今となってはご臨終にあれほどまでおっしゃったご遺言の一言なりとも背いてはならないと思います。だから結婚もしないこうした暮らしが心細いなど格別に思ってもいないけれど、周りの女房たちがそんな私を異常でいかにも強情な女と思って憎んでいるらしいのは本当に困ったことです。でもあなたまでがあの人たちの言うように私と同じに独身を通されるのも明け暮れする月日がたっていくにつけてももったいなくてあなたの身の上ばかりが可哀そうで悲しくてなりません。せめてあなただけでも人並みに結婚してください。そうなればこんな私の面目もたち、晴れ晴れとあなたのお世話をしたいと願っています」


 と言うのだった。

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