総角 その三
薫の君は姫君に代わって一周忌法要の願文を作り、経典や仏像を供養する趣旨などを硯に向かって書く筆のついでに、
総角に長き契りをむすびこめ
おなじ所によりもあはなむ
と書いて見せると、またいつものと姫君はわずらわしいのでだが、
貫きもあへずもろき涙の玉の緒に
長き契りをいかがむすばむ
と書いたので、薫の君は逢わずには生きていられないという古歌の一節を口ずさんでいかにも恨めしそうに物思いに沈み込んでいる。
大君は自身のこととなるとこんなふうになんとはなしに話をはぐらかしてこちらが気がひけるような冷たい態度を見せるので、薫の君はためらわず意中を打ち明けることもできず、匂宮のことを大真面目に話すのだった。
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