椎本 その二
匂宮は少し機嫌を損じたが、宰相の中将薫の君が今日のお迎えにちょうど出かけたので、かえってそのほうが気兼ねなく八の宮の姫君たちの様子を伝え聞き、意中の橋渡しもしてもらえるだろうと満足した。匂宮は夕霧の右大臣を気安く会いにくい、窮屈な人だと思っている。子息の右大弁、侍従の宰相、頭の少将、蔵人の兵衛の佐などは皆匂宮のお供して来ている。
匂宮は帝も后も特別に寵愛している人なので、世間の人々の声望もこの上なくて、まして六条の縁者の人々は皆自分の主人と崇めて心を込めて仕えている。
山荘にふさわしく部屋の飾りつけなども風情のあるように整えて、碁、双六、弾棊の盤などをいろいろ取り出してそれぞれ思い思いに遊び暮らしていた。
匂宮は慣れない旅行に疲れて、宇治でゆっくりしようという下心もあったので、少し休んでから夕暮になって琴など取り寄せ、管弦の遊びをするのだった。
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