橋姫 その三

 あとから生まれた姫君のことを、女房たちは、



「本当にこんな折にも折に、情けないこと」



 などとぶつぶつ言ったりして心をこめて世話をしようともしない。


 北の方が亡くなった際にもうほとんど意識もない容態の中からこの姫君を本当に不憫に思い、



「私の死後はただこの子だけを形見に思って可愛がってやってくださいませ」



 とだけ、ただ一言八の宮に遺言したので、北の方との前世の縁のはかなさを恨んでいた悲痛な時だったが、八の宮は、



「こうなるのも運命なのだろう、いまわの際まであれほどこの姫を不憫がっていかにも心配そうにおっしゃったのだから」



 と思い出してはこの姫君を特に目の中に入れても痛くないほどに可愛がっている。この中の君は本当に愛らしくて空恐ろしいほどの美しい器量なのだった。

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