　冷泉院に上がることについて、兄弟たちは、

「やはりどうも栄えないような感じがしますね。何事も時勢に合った方法を世間の人々も認めるでしょう。冷泉院は確かにいつまでもお姿を拝していたいようなご様子で、この世にまたとないお美しさのようですけれど、何といっても盛りが過ぎられたという感じがします。琴や笛の調べ、花や鳥の色香や音色もその季節季節に合わせてこそ、人の目や耳にとまるものです。むしろ東宮に差し上げてはいかがなのですか」

　などと言う。玉鬘の君は、

「さあ、どんなものでしょうか。東宮には初めから高貴な御立派なお人が誰も肩を並べたれないようなご威勢でいらっしゃいましたし、そこへなまなかな身分の者がお仲間入りなどしては気苦労が多く、人の物笑いになることもあろうかと気が重くて。姫君の父親がご在世なら行く末の御運はどうであれ、ともかく今は宮仕えのし甲斐があるようにお世話してくださるでしょうけれど」

　などしみじみ述懐して誰もがしんみりしたのだった。