竹河 その八
正月のはじめのころ、あの玉鬘の君の兄弟で、昔「高砂」を謡った按察使の大納言と髭黒の太政大臣の長男で真木柱の君と同腹の藤中納言が玉鬘の君の邸に来た。夕霧の右大臣も子息たち六人をみんな引き連れて来た。夕霧の右大臣は容貌はもとより、何一つ欠点のない人柄で、声望も備わっている。
子息たちも皆それぞれとても美しく、年齢よりは誰も官位が高く手何の苦労もなさそうに見える。ところが蔵人の少将は常々格別大切にされているのに、ふさぎ込んで悩みがありそうな顔つきだ。
夕霧の右大臣は、玉鬘の君と几帳を隔てて昔と変わりなく話す。
「取り立ててこれという用事もなくて度々お訪ねすることもできずにおります。年をとるにつれて宮中に参上するよりほかの出歩きなどは億劫になってしまいましたので、昔の思い出をお話したいと思いながらそうした機会をたくさん逃しているのが残念なことです。若い者たちは何かの御用のときには呼びつけて遠慮なくお使いください。必ずお前たちの誠意をお目にかけるようにと申し付けてあります」
などと言うのだった。
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