紅梅 その十三
「あの姉君は私を一人前とも思ってくださらなくてお見限りだったようだね。もっともなことだ。しかしやっぱり面白くないね。私と同じ古めかしい皇族の血筋で、宮の御方とか申し上げている姫君に、私と仲良く付き合っていただけないかと、そっとお伝えしておくれ」
などと言う。そのついでに若君があの紅梅の花を差し出すと、にっこりして、
「恨み言を言ったあとではこの花をもらってもうれしくはなかっただろうに」
と言い、花を下にも置かず、しみじみ見る。枝ぶりといい、花房といい、色も香も普通のものではない。
「花園に咲き匂う紅梅は色の美しさに負けて、香りは白梅より劣ると言われているようだけれど、この紅梅は何と美しく色も香りも兼ね備えて咲いたものか」
と言って、前々から好きな花なので、差し出した甲斐があってとても喜び、ほめたたえているのだった。
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