匂宮 その十九
あくる年の正月、賭弓の競射のとき、勝った側の饗宴が夕霧の右大臣の六条の院でとても念入りに準備して開かれた。夕霧の右大臣は親王にも来てもらおうとの心づもりでいた。宮中の賭弓には親王たちの中で元服が済んだ人は皆出席した。
明石の中宮の子供たちは誰もが気高くきれいな中にもこの匂兵部卿の宮は本当に素晴らしくてこの上なく美しく見える。その弟の四の宮は常陸の宮と言った。母が更衣のせいか、思いなしか人品が格段に劣っている。
例によって今日の賭弓は左方が一方的に勝った。例年よりは早々と思ってしまって勝ち方の大将、夕霧の右大臣は退出する。匂兵部卿の宮、常陸の宮、后腹の五の宮を招いて自分の車に乗せ、帰っていった。
宰相の薫中将は負け方で、ひっそりと退出するところを夕霧の右大臣は、
「親王たちがお越しになるのをお見送りいらっしゃっては」
と退出を押しとどめて、子息の衛門の督、権中納言、右大弁など、その他の高官たちも大勢誰彼の車にごたごたと乗りこんで皆で誘い合わせて六条の院に来たのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます