御法 その十六

 それにつけてもこのまま千年も暮らすすべはないものかと光源氏は考えるのだった。そうも思うに任せられないことなので、紫の上の命を引き留めるすべがないことがつくづく悲しくてならない。紫の上は、



「もうどうか、お引き取りください。気分が悪くなってきました。こんなに弱ってしまってどうしようもないとはいえ、これではあまりに失礼でございますから」



 と言って、几帳を引き寄せて横になる姿がいつにもまして弱弱しくはかなそうに見えるので、



「どうなさいました」



 と明石の中宮は紫の上の手を取って、泣く泣く顔を覗く。


 紫の上は今にも消えていく露そのままのはかない様子で、もういよいよ臨終と見られた。


 たちまち邸では誦経を頼みに差し向けられる使者たちが数知れず集められて大騒ぎとなるのだった。

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