夕霧 その一一五

 昔、雲居の雁との仲をさかれていたころ、夕霧はこの典侍だけを人知れず愛していたが、二人の縁談が整ってからは通うことはごくまれになり、次第に冷たくなる一方だった。それでもふたりの中に子供が大勢できた。雲居の雁には太郎君、三郎君、四郎君、六郎君と、大君、中の君、四の君、五の君の四人の姫君、都合八人の子どもがいる。


 典侍のほうには三の君、六の君の二人の姫君と、次郎君、五郎君の二人の若君と四人の子どもが生まれている。


 合わせて全部で十二人の中に欠点のある子どもは一人もなく、それぞれにとても美しく成長していた。


 典侍の生んだ子供たちは特に器量もよく、性格も才気があってそろって優秀でいる。三の姫君と次郎君は六条の院の花散里が引き取って格別大切に世話をしている。光源氏も始終見るので、他の孫たちよりなじみ深くなり、とてもかわいがっていた。


 それにしてもこの人たちのもつれた仲のことはいったいどうなっていくことか、話の言いようもないことやら。

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