夕霧 その一一三
なにゆゑか世に数ならぬ身ひとつを
憂しとも思ひかなしとも聞く
とだけ心に浮かんだままを書いて、終わりの挨拶まではとても書きなれないふうにして、上包みに包み、外に出した。
少将は女房たちを相手に話したり、
「時々お伺いしているのにこんな御簾の外に通されては頼りないような気がいたしますが、これからはご縁ができたように思われますので、始終お訪ね申し上げましょう。そのうち長年の忠勤の結果が報われて御簾の内にも入れていただけるようになるかもしれませんね」
などそれとなく意味ありげに言い、退出するのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます