夕霧 その五十九
まさか今夜するとは思っていなかった葬儀の万端の処理などがとても迅速にてきぱきと行われているのがいかにもあっけなくもの足りなく感じになり、夕霧はここに近い荘園の家来たちを招集して、必要なお手伝いをするようにと指図してから帰った。
なにぶん急のことなので何かと簡略になりがちだったいろいろな儀式もこうして盛大になり人数なども大勢になって執り行われた。大和の守も、
「ありがたい夕霧の配慮をいただきまして」
など恐縮しながら喜んでお礼を言う。
火葬のあとを亡骸の跡形さえなくなったことをあまりなことと女二の宮は転ぶように身を揉んで泣き伏しているのだが、どうしようもない。親子といってもこんなにまで悲しむのほど睦みあうのも困ったものだ。側の女房たちも女二の宮のこの様子からこのまままた女二の宮まだ不幸なことになるのではないかと案じているのだった。
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