夕霧 その三十
律師が立ち去った後で、御息所は小少将の君を呼んで、
「こんな話を聞きました。いったいどうしたことですか。どうして私にはこれこれしかじかのことがあったと聞かせてくれなかったのですか。よもや、そんなことが真実あったとは思えないけれど」
と言うので、小少将の君は女二の宮には気の毒とは思うが、初めからのいきさつを詳しく話す。
今朝の夕霧からの手紙の様子や、女二の宮がちらと洩らした言葉などを話して、
「夕霧がこれまでずっと長い間お心に秘めてこられたお気持ちをお伝えしておわかりいただきたいというだけのおつもりだったのではないでしょうか。並々ならずお気を遣われて、夜も明けないうちにお帰りになりましたのに、人はどのように申し上げたのでしょうか」
と律師が話したとはお思いもよらないので、こっそり女房の誰かが言ったのだろうと思っているのだった。
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