夕霧 その八

 その様子がいかにも立派で軽々しく扱い出来ない感じなので、女房たちはやはり二人の仲はこのままではすまないだろうと思い、



「かえっていい加減な返事を申し上げるのは気が引けて」



 などと互いにつつきあって、



「こんなにまで悩んでいらっしゃいますのに、知らぬふりでお返事なさらないのは人の情愛がおわかりになられないように思われましょう」



 と女二の宮に言う。女二の宮は、



「母君が直接挨拶を申し上げられないでご無礼いたします。私が代わってお相手を申し上げるのが本当ですけれど、ひどく病人が恐ろしいほど苦しみまして、あまりにも容態が悪いように見えますので、私まですっかり看病疲れになりました。とても弱って人心地もございませんので、お話もできなくなりました」



 と女房を通して言うのだった。

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