鈴虫 その八
秋ごろには女三の宮の部屋から西の対への渡り廊下の前方にある中仕切りの塀の東際一面を野原のように造園した。また簀子に閼伽の棚などをこしらえて女三の宮の住まいにふさわしく作ったのがとても優美だ。
女三の宮の弟子にしてもらいたいと後を慕って出家した尼たちの中には乳母や老女たちがいるのは当然として、若い盛りの女房も出家の決心が固く、尼として生涯を送れそうな者たちだけをよく選んで出家を許した。
こういう時のはずみで我も我もと出家を申し出て競り合ったが、光源氏はそれを聞いて、
「それはとんでもないことだ。本心から決心しないものが人でも混じっていると、周りのものが迷惑するし、浮ついた評判が立ってくるものです」
と諫めて、十人余りの女房たちだけが尼姿になって女三の宮に仕えるのだった。
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