鈴虫
鈴虫 その一
夏の頃、蓮の花の盛りに女三の宮の造った持仏などの開眼供養が催されることになった。
この度の法会は光源氏の発願で、あらかじめ念誦堂の仏具類などこまごまと用意させたのをそっくりこの法会に飾る。
仏前にかける幡なども格別に立派な唐の錦を選んで縫わせていた。これは紫の上が用意したものだった。花机の覆いなどの趣のある絞り染めも優美できれいな色合いといい、染模様の趣向といい、またとない出来栄えだ。
女三の宮の夜の帳台の帷子を四方皆上げて、奥の方に法華経の曼陀羅を懸けて銀の花瓶に丈の高い立派な蓮の花々の色の美しいのを取り揃えてお供えしてある。
仏前のお香はからの百歩の衣香を薫いた。阿弥陀仏や脇侍の菩薩はそれぞれ白檀で造ってあるのが何とも言えない繊細な作りで愛らしい感じだった。
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