柏木 その十七
「そういう御決心がおなりならそれは実に尊いことですが、そうは言っても人間はいつ死ぬとは決まっていないので、生い先の長い若い人はかえって出家のあとで身も地に間違いが起こって世間の人から非難されるようなことにもなりかねない。まあ出家は見合わせたほうがよろしいでしょう」
などと言い、光源氏に、
「このように自分から進んで出家をしたいとおっしゃるのだから、もうこれが最期といった容態なら死ぬまでのほんのわずかの間にもせよ出家させてその功徳を受けられるにしてやりたいと思います」
と言う。光源氏は、
「この幾日はいつもそんなふうにおっしゃるのですが、物の怪などが病人の心をたぶらかしてそんな気持ちをおこさせるようなこともあると申しまして、私は取り合わないでいるのです」
と言うのだった。
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