若菜 その二〇〇

 明石の女御の当たりでも部屋の飾りつけなど正月らしく一段と改まった明るく晴れやかな中で女房たちがそれぞれ我こそはとおしゃれを凝らした衣装を着ているのが、この上なく華やかで目が覚めるようだ。女童に青色の上着に蘇芳襲の汗衫、唐綾織の表袴、衵は山吹色の唐の綺という織物を、同じようにおそろいで着せている。


 明石の君のところの女童は大げさではなく紅梅襲の上着二人、桜襲のが二人、四人とも青磁色の汗衫で、衵は濃紫や薄紫で単衣は打ち目の艶などのなんとも言えずすばらしいのを着せている。


 女三の宮のあたりでもこうした方々が集まると聞き、女童の身なりだけは格別念入りにさせた。緑がかった青色の上衣に柳襲の汗衫、葡萄染の衵など、取り立てて珍しく趣向を凝らしたというほどではないものの、全体の感じが気高く荘重なことは他と比べようもなかった。

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