若菜 その一四四
三月ごろの空がうららかな日、六条の院に蛍兵部の宮や柏木などが参上した。光源氏が迎え世間話などする。
「閑静なこの辺りに住んでいると、この時節などがもっとも退屈で気を紛らわすこともできず困っていました。公私ともに平穏無事で暇だし、何をして今日一日暮らせばいいのかだろうね」
などと言い、
「今朝、夕霧の大将が来ていたが、どこに行ったのかな。本当に退屈で淋しいからいつものように小弓でも射させて見物すればよかった。小弓を好きそうな若者たちも来ていたのに、惜しいことに帰ってしまったのだろうか」
と訪ねる。夕霧は東北の町で大勢の人々に蹴鞠をさせて見物していると聞き、
「蹴鞠は騒々しいものだけれど、技量の差がはっきりして活気があり面白い。どうだろう、こちらでやらせては」
と言い、招いたので夕霧たちはこちらに来たのだった。
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