若菜 その十二

 朱雀院は、女三の宮がとても可愛らしくて、あどけなく無邪気な様子を見るにつけても、



「この女三の宮と結婚して大切に可愛がってくれ、また一方では未熟な面は大目に見て、かばって教えてさしあげられるような、頼りになる人にお預けしたいものだが」



 などと話す。年配の主だった乳母たちを幾人か呼び出して裳着の支度のことなど指図するついでに、



「六条の院の光源氏が式部卿の宮の姫君、紫の上をお育てになったように、この女三の宮を引き取って大切に育ててくれる人はいないものだろうか。臣下の中にはそうした人はとてもいそうにないし、今の帝には秋好む中宮がついていらっしゃる。その次々の女御たちにしても、たいそう高貴な身分の方ばかりを揃えていらっしゃるから、しっかりした後見もないまま後宮に入れば、かえって辛いだろう。あの夕霧がまだ独身でいた頃に、それとなく打診してみるべきだった。あの人はまだ若いけれど、非常にすぐれていて、将来有望な頼もしい人物と思えるのに」



 と言うのだった。

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