藤裏葉 その三十四
光源氏も、もう余生も長くないと思われる自分の存命中にと望んでいた明石の姫君の入内も望み通りにすませた。また自分から求めたこととはいえ、結婚もせず世間体の悪かった夕霧の宰相も今は何の心配もなく世間並みに身を固めたので、すっかり安堵して今こそ念願の出家遂げたいものと思う。ただ紫の上のことが気掛かりだが、こちらは秋好む中宮がいるので、並々ではなく心強い味方というものだ。
明石の姫君も表向きは母君としてまず第一に思ってくれることだろうし、もう自分が出家しても心配はないと頼りにしていた。
そうなれば夏の御方花散里が何かにつけて淋しいことだろうが、それも夕霧の宰相がついていることだから、皆それぞれに心配はないと考えになっていくのだった。
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