藤裏葉 その二十

「今朝はどうだった。お手紙などもさし上げたかね。賢い人でも、女のことではしくじることがあるのに、見苦しく思いつめたり、いらいらせずに今日まできたのは少しは人よりましな見どころがあると思っていた。内大臣の対応があまりに頑固だったのに、今になってすっかり向こうから折れてしまわれたのを世間も何かと噂することだろう。だからといって、自分のほうが思いあがり得意顔して浮気心など見せてはならない。内大臣はさも鷹揚な度量の広い人のように見えるけれど、本心は男らしくなく、癖があるので、付き合いにくいところのある人なのだ」



 などといつものように教訓する。


 光源氏は若い二人を釣りあいもよく似合いの仲だと考える。


 光源氏は若々しいので、夕霧の父親とはとても見えず、ほんの少し上の兄君のように見えた。二人が別々にいる場合には夕霧は光源氏の生き写しのように見えるのだが、父の光源氏が目の前にいると、二人それぞれに特色があり、何という立派な方々だろうと思うのだった。

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