藤裏葉 その五
夕霧の中将はひどく畏まって、
「亡き大宮からも内大臣におすがりするようにと、御意向をお聞きしていた件がありましたが、お許しくださりそうもない様子だったので、遠慮しておりまして」
と言う。
心の落ち着かない急な風雨になったので、参会の人々は皆散り散りに先を争って帰っていった。
夕霧の中将は内大臣がどういうつもりでいつもに似ず、あんなふうに親しそうな態度をとったのだろうなど、何かにつけて常々心にかけている内大臣家のことなので、ほんの一言だったのに耳に残って、ああかこうかと考え続けて眠れない夜を明かすのだった。
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