梅枝 その二
今度、太宰の大弐が献上した綾や羅などは、女房たちに与えた。
いくつかの香木などは昔のものと今のもとのを取り揃えて、女君たちに配り、
「二種類ずつ調合なさるように」
と伝えた。
当日の客たちへの贈り物、上達部への禄の品々などはまたとないほどすばらしいものをと、六条の院でもほかのところでもしきりにあれこれ用意する。それ上に、それぞれ女君のところでも、思い思いに選んだ香木を調合するので、香木の搗く鉄臼の音があちらでもこちらでもやかましく聞こえる今日この頃なのだった。
光源氏は六条の院の寝殿に紫の上とも離れてひとりで籠り、承和の御代に、仁明帝が男子には伝えないとした二つの秘伝の調合法をどうやって聞き伝わったものか、一心に調合しているのだった。
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