真木柱 その四十七
蛍兵部卿の宮は、帝の御前の管弦の遊びにたまたま参列していたが、心も上の空で、玉鬘の部屋のあたりが気になって仕方がないので、とうとうこらえかねて手紙をさし上げた。
髭黒の大将は近衛府の詰め所にいたので、女房は髭黒の大将からの手紙のように見せかけて、取次をする。玉鬘は髭黒の大将からとばかり思って渋々それを見たのだった。
深山木に羽うちかはしゐる鳥の
またなくねたき春にもあるかな
「その鳥の囀る声も、気になりまして」
とあった。玉鬘は顔を赤らめて、蛍兵部卿の宮に返事のしようもなくて困っているところに、帝が来た。
月光の明るさの中に、帝の顔はたとえようもないほど美しくて、あの光源氏の様子と、ただもう何から何までそっくりだった。こんな美しい人がこの世にもう一人いるとはと、玉鬘は感じ入っている。
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