藤袴 その二
「そうかと言って、今のようにこの六条の院にお世話になっているのも、不都合ではないけれど、この光源氏様のああしたお心が煩わしくうるさいので、何かの折にここから逃れ出て、世間から邪推されているような関係を、すっきりと清算して、身の潔白を貫けないものだろうか。実父の内大臣も、この光源氏様の意向に遠慮なさって、自信をもって私を引き取り、けじめをきっぱりして自分の実父として扱ってくださるわけでもないから、結局は宮仕えするのも、このままここにいるのも、どちらにしても、やはりみっともなく、男たちから好色がましい目で見られ、自分も気苦労が絶えず、人にもとやかく騒ぎ立てられる身の上なのだろう」
と、悲しみ、その上実の父親に認知してもらってからは、かえって遠慮もなくなり、大っぴらになった光源氏の馴れ馴れしい態度もますます度重なってくるので、人知れず思い悩んでいるのだった。
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