常夏 その十七
内大臣は例の、今度引き取った娘のことを、邸の人々にも、とても姫君とは認められないと軽蔑されて、蔑ろに言われるし、世間でもばかばかしいことだと悪口を言われていると耳にしたので、弁の少将が話のついでに、光源氏が、そんなことがほんとうにあったのかと尋ねた件を言い、
「そうとも。あちらこそ、今まで噂にも聞かなかった田舎娘を引き取って、ひとかどの娘のように大切に育ているではないか。めったに人のことを悪くおっしゃらない源氏の大臣が、当家のことを言うと、すぐに聞き耳をたててけなされる。それほど気にかけてくださるとは、何と面目のあることよ」
と負け惜しみを言う。弁の少将は、
「あの六条の院の西の対に住まわせている姫君は、まったく申し分のないすばらしいお方のようです。兵部卿の宮などが大変な御執心で、熱心に口説いていらっしゃるけれど、うまくいかず苦労しているとか。きっと並々のお方ではないのだろうと、世間ではもっぱらの評判のようです」
と言うのだった。
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