常夏 その五

 光源氏はこうした話を聞くにつけても、



「玉鬘を内大臣に会わせたら、これはまた、きっと大切にお扱いなさるだろう。何しろ、万事に折り目正しく形式ばり、何に対してもきちんとやってのける性格で、善悪のけじめもはっきりとつけ、人を褒めたり、けなしたり、軽んじたりするのも、格別激しくなさる方なので、玉鬘をこちらにかくまっていたとわかれば、どんなに立腹されるだろう。なんの予告もしないで、いきなり立派に成長した姿の玉鬘お引き合わせたら、決して軽々しくお考えになれまい。それにつけても、こちらはいっそう油断なくお世話しなくては」



 などと考えるのだった。

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