蛍 その二十四
玉鬘は襟に顔を埋めて、
「そうでなくても、こんな世にも珍しい関係は、世間の噂の種にもなってしまいましょう」
と言う。光源氏は、
「あなたも世にも珍しいとお思いですか。ほんとに私もあなたのような父につれない娘とはまたとはないような気がしますよ」
と言って、寄り添っている姿は、いかにもくだけたしどけなさだった。
思ひあまり昔のあとをたづぬれど
親にそむける子ぞたぐひなき
「不幸というのは、仏教でも厳しくいさめていますよ」
と言うが、玉鬘は顔も上げない。光源氏は、玉鬘の髪をしきりに掻き撫でながら、とても怨むので、ようやくのことで、
ふるき跡をたづぬれどげになかりけり
この世にかかる親の心は
と言うにつけても、光源氏はさすがに気恥ずかしくなって、それ以上はあまりひどくもいかがわしいことはしなかった。
こんなことで、末はいったいどうなっていく二人の仲なのだろうか。
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