蛍 その二十一
玉鬘は、
「おっしゃるように、いつも嘘をつきなれた人は、いろいろとそんなふうに推量もなさるのでしょう。私などにはただもう本当の話としか思えませんわ」
と、今まで使っていた硯を脇へ押しやって、物語を写すのをやめようとするので、光源氏は、
「気を削ぐようなぶしつけな悪口を言って、物語をけなしてしまったね。物語というものは、神代の昔から、この世の中に起こった出来事を書き残したものだと言われています。正史と言われる日本紀などは、そのほんの一面しか書いていないのです。こうした物語の中にこそ、細かいことが詳しく書いてあるのでしょう」
と言って笑うのだった。
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