玉鬘 その六十二
夕霧にも、光源氏は、
「こういう人を探してきたから、よく気をつけて仲よくしてやってほしい」
と知らせた。夕霧は玉鬘のところに出かけて、
「つまらないものですが、こういう弟がいると、誰よりも先に呼びつけくださるべきでした。お引越しのお手伝いもせずに失礼いたしました」
と、いたって生真面目な挨拶をするので、事情を知っている女房は気の毒で恥ずかしくなった。
筑紫での住まいも、それなりに精いっぱい贅を尽くしていたものの、今思えば、何という田舎臭さであったことかと気がついて、この六条の院と比べたら雲泥の差だとわかった。部屋の調度からはじめ、はなやかに上品に飾り、玉鬘が、親や兄弟として親しむ方々の姿や、器量まで、目もくらむほどに美しく立派に思った。今では、あの三条も、太宰の大弐などはつまらないと思うのだった。まして大夫の監の鼻息や剣幕は、思い出してもたまらなくぞっとする。
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