玉鬘 その四十三

 右近は六条の院に早速参上した。玉鬘にめぐり逢ったことを、光源氏にそっと話す機会があるかもしれないと思い、急いだのだ。


 車を門の中に引き入れるなり、あたりは格別広々として、退出したり、参上したりする車がおびただしく往き来している。自分のようなものの数にも入らない身で出仕するのも、気後れするような、立派できらびやかな御殿だった。


 その夜は、光源氏の前にも伺わず、あれこれ思案しながら寝た。


 翌日、昨夜里から上った上臈や若い女房たちの中から特に右近を選んで、紫の上が呼んだので、晴れがましく思った。光源氏も右近を見て、



「どうして里居がそんなに長引いたのかね、珍しいことではないか。真面目人間が打って変わって若返るということもあるものだ。何かしゃれたことがあったのだろう」



 など、例によって返事に困る冗談を言うのだった。

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