玉鬘 その三十七
夜が明けたので、皆で右近の知り合いの僧の宿坊に下った。積もる話を気がねなくゆっくりとしようというつもりなのだろう。玉鬘が旅疲れで器量がやつれていると思い、右近にきまり悪そうにしている顔が、右近にはこの上なく素晴らしく見えた。
「私は思いかけない高貴なお方にお仕えして、多くの方々とお会いしましたけれど、光源氏の紫の上の器量に並ぶお方は、あるまいと、長年お見受けしてまいりました。また、他にはその手許でお育ちになった明石の姫君の様子が、当然のことながら、本当にこの上もなく可愛らしいのです。光源氏がその姫君を大切になさる有様も、並一通りではございません。こちらの姫君は、こうした旅疲れでおやつれなのに、そのお二方にひけをおとりにはなるまいとお見受けされますのは、めったにないお美しい器量でいらっしゃいます」
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