玉鬘 その三十六
筑紫の人たちは、三日間参篭しようと心掛けていた。右近は、それほどのつもりではなかったものの、こんなついでにこそ、玉鬘にゆっくり話そうと思い、自分も三日参篭したいと、世話役の僧を呼んで頼んだ。願文に書いた願いごとの趣旨など、こうした僧は、こまごまと心得ているので、いつものように、
「例の藤原の瑠璃姫君というお方のために、ご布施を差し上げます。よくお祈りしてください。そのお方を最近やっとお見つけいたしました。その願ほどきのお礼詣りもいたしましょう」
と右近が言うのを、側で聞いていた乳母たちも感無量だった。法師は、
「それはまことに結構なことでございます。拙僧が怠りなくお祈りいたしました効験でございます」
と言う。
まったく騒がしく、どうやら一晩中勤行は続いているようだった。
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