　右近は、縁起でもないことを言うものだと呆れて、

「何てまあ、ひどく田舎者になってしまったものね。玉鬘様の父君の頭の中将様は、あのころだって御門の信望がどれほど素晴らしかったでしょう。まして今は、天下の政治を心のままにされる内大臣ですよ。そのお方のれっきとしたお子でいらっしゃるのに、その立派な姫君がこともあろうに受領の妻になって、つまらぬ身分に決まってしまわれるなんてあるものですか」

　と言うと、三条は、

「まあ、まあ、お静かに。おだまりなさい。大臣とやらのこともちょっとお待ちになって。大弐のお館の北の方が、清水の観世音寺にご参詣なさったときの威勢は、帝の行幸にだって劣っていましたか。何も知らないくせに、おお、いやだわ」

　と言って、なおさら手を額に押しあて、一心に拝むのだった。