玉鬘 その二十三
「いやいや、この私は気楽なものです。玉鬘様の身代わりとなって、どこどこまでも行き行方知れずに消え失せたところで、誰が咎めましょう。たとえ私たちが、たいそうな権勢を得て羽振りよくなったところで、玉鬘様をあんな大夫の監のような田舎者の中に捨てておくようでは、どんな気持ちでいられましょうか」
と、言葉を尽くして乳母を慰めて、
「神仏こそは、玉鬘様をきっと当然の幸運にお導きくださることでしょう。この近くの岩清水八幡宮という神様は、筑紫でも玉鬘様がよくお詣りしてお祈りしていた松浦、筥崎と同系のお社です。玉鬘様が肥前の国から出発なさるときにも、たくさんの願を立ててお祈りなさいました。上京を果たした今、こうしてご利益をいただいて、無事に帰っておりますと、早くご報告なさいませ」
と言うのだった。
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