乙女 その六十五
元日も、光源氏は参賀に参内しないで、のんびりうちくつろいでいた。昔、藤原良房の太政大臣という人が自宅で白馬を見たという例にならって、二条の院に白馬を引き、正月の節会の日々には宮中の儀式に真似て、良房の大臣の古例よりも、さらに新しいことを加えて、おごそかな有様だった。
二月の二十日過ぎには、上皇御所の朱雀院への行幸があった。桜の花盛りにはまだ早いころだったが、三月は藤壺の宮の忌月なので、二月にしたのだ。早咲きの桜の色もとても見事なので、朱雀院でも格別な心配りをして、御所の修理や飾りつけを念入りにした。また行幸のお供に立つ上達部や親王方をはじめ、皆支度に心遣いをして、誰もが皆、青色の袍に桜襲を着用していた。
帝は赤色の衣を着ていた。
呼び出しがあって、光源氏も参上した。帝と同じ赤色の袍を着ていたので、普段もよく似ていたが、ますます二人はそっくりに見え、輝くばかりでどちらがどちらとも、見分けがつかないくらいだった。
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