乙女 その四十四
頭の中将の若君たちの左近の少将、少納言、兵衛の佐、侍従、大夫などという人々が、皆集まったが、この人々が御簾の内に入ることは、大宮が許さなかった。左衛門の督、権中納言なども、異腹の兄弟だが、亡き太政大臣のしつけどおり、今も大宮のところに参上して丁重に仕えているので、その子たちもそれぞれ来るが、この夕霧の器量の美しさには誰も敵わなかった。
大宮は、夕霧を誰よりも愛しく思っていたが、その他には、ただ雲居の雁だけを、身近に慈しんで、大事にして、いつも側から離さず可愛がっていた。それなのにこうして雲居の雁が行ってしまうのを、この上もなく淋しく思った。
頭の中将は、
「今のうちに参内して、夕方、迎えに参りましょう」
と言ってから出かけた。
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