乙女 その十三
夕霧はそれ以来、大宮のところにもめったに出かけない。大宮は夕霧を夜となく昼となく可愛がり、いまだに幼子扱いするので、あの大宮の邸ではとても勉強はできないだろうと、光源氏は静かなところに籠らせたのだった。一月に三度ほどは大宮のところに参上してもよいと、許した。
夕霧はずっと勉強部屋に閉じこもって、気分が晴れないものなので、
「ずいぶん辛い仕打ちをなさるものだ。こんなに苦しい勉強をしなくても、高位高官に昇り、世間に重く用いられている人だっていないこともないのに」
と、光源氏を随分と恨むが、もともと人柄が真面目で軽薄なところがない人なので、一生懸命我慢して、
「何とかして、詠まなければならない漢文の本を一日も早く読んでしまい、大学を卒業して、朝廷の役にもつき、立身出世もしよう」
と考えた。わずか四、五ヶ月のうちに、史記などという書物は、すっかり読み終えてしまったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます