第52話 戦田ヶ原チュウ暗殺計画 後編

「本当にここにいるのか」

「はい、というか書いてありますし」

 看板には、”戦田ヶ原チュウ暗殺計画用研究所”と、書かれていた。

「なめられたものだな」

 以前登った天才山のふもとの森、そこにこの研究所はあった。

「まさか今回の敵も元天才塾出身なんじゃねーのか」

「自分もなんだかそんな気がしてきた」

「まぁとにかく終わらせましょうか」

「ですね」

 今終わりへの一歩が踏みしめられた。

ズドン

 落ちた・・・・・。


「真っ暗ってのは人間のわからないという過去の記憶、今の状態に比例して怖さをましtいくんだってな」

「へー本当ですか?」

「いや、オレがいつも思っていることだ」

「そーですか」

 最初の一歩ぴったりのところには落とし穴があり全員きれいに落下した。

「まさかあんな単純な罠に引っかかるとな」

「単純なほうが効果ありと」

「おいバカ何をメモしているんだ」

「いや別に」

「とにかく明かりのあるほうを目指しましょう」

「そうだな、自分流神拳奥義”ピッカピカサマー”」

 そういうとチュウの頭上に明かりが表れる。

「明るい+あったかい=あかったかいだな」

「とにかく進むぞ」 

 最初の一歩を踏み出した


「ん?おかしいさらに暗さがましたぞ」

「というか変な音聞こえませんか?」

「え、聞こえます」

 その時目の前に巨大な光が現れる。

「ようこそ研究所へ!」

「お前は所長のローズなんたら」

「なにか言っているんでしょうけどこいつの調子が悪いからあなたたちの意見は聞こえないわよ」

「まじかよ」

「さていま強大な壁を出現させ全員を分断したわ、さてこの暗闇の中精神を破壊されずにいられるかしらね~」

「精神攻撃か、相も変わらず」

「でもたしかに・・・声・・・もきこ・・・」

 だんだんと全員の声が聞こえなくなってくる。この状況でそれぞれは、

「とりあえずいてみるか」

 様子をみるもの

「しかたがない楽しいことでも考えるか」

 現実逃避するもの

「よし、この暗闇だがエビフライは作れる」

 いつもどおりのもの

(ここは迷走せず、瞑想して待ちましょう)

 耐えるもの

(アムドロイドには精神というものはなにをしていればいいのでしょうか?)

 悩むもの

「え!とりあえず師匠からいただいたこの奥義を使いこなせるようにしましょう!」

 修行するものと多種多様であった。

1時間、10時間、50時間、100時間、1000時間・・・・

「うわ~誰でもいいからきてくれ~」

「あいよ」

 突然壁が壊されチュウが入ってきた。

「ええ壊せんじゃん!」

「流石に俺も飽きてきたからな、他の奴もそうだろう」

 そのとき穴が4か所あいた。

「エビフライであふれてしまった」

「瞑想のしすぎも考えものですね」

「暗くて絵が描けない~わかんない~」

「一体なにをすれば???」

 ほぼ同時だった。


「なんだい!全然聞いてないじゃないか!」

「仕方がありません、奥の手を使いましょう」

「あるの?そんなのが」

「あります」


「さてとこの変か、なっ!」

 その後手当たりしだいに破壊活動を続けついに出口らしきところを見つけだした。

「ここは研究所か?」

「ご名答」

「お前は!やっと会えたぜおかま男」

「おだまり!こっちももう持久戦には飽き飽きなのよ、一気に片付けさせてもらうわ」

 そういいながら左手を上げると奥のシャッターが開く。

「なんだ?戦車でもでてくるのか?」

「違うわよ、これを見よ」

 出てきたのは白いロボットであった。

「こいつは成長するAIが搭載されているスーパーすごい奴なの、さぁチュウ、一騎打ちよ」

「くだらん、すぐにケリをつけてやる」

(成長か、ちょっと気になるな)

 そんな不安な感情を抱きながら、チュウはリングに立つ

「自分流神拳超奥義、チェーンロッカー」

 そう叫ぶとチュウの体から6本の鎖が飛び出る、そしてその鎖の先端はとがっており、突き刺せるようになっていた。

(まずは奴の硬さを見極める)

 その鎖はロボットの顔と体に突き刺さった

「よしこのまま投げ飛ばす」

 しかしその時不思議なことが起こった

ロボットの体からチェーンが、鎖が飛び出してきたのだ

「そんなバカなっ」

 それはチュウの体を突き刺し貫通した。

「そんな俺の技をコピーしただと」

「そうこいつは進化型、もともとはチュウのクローンを考えていたがすべてをコピーするには時間と予算がかかる、では一部だけ、例えば受けたものだけをコピーするタイプならばと」

「こうして生まれたのがこの成長コピーロボ「SP」なのよ!!」

 よほど自信があるのかすべてネタバラシをしてしまう二人。

「さぁチュウ!どう戦う!?」

「もちろんそいつよりも速く戦う!」

 そういうとチュウは手刀で鎖をたたっ切った。

「そうかあいつはコピーされる前に奴を倒す気なんだ」

「そんなことが」

「あいつならできない話ではない!」

 チュウはSPとの間合いを詰める、そして顔と顔がぶつかるくらいまで接近して叫ぶ

「自分流神拳奥義っ!男流星群」

「こいつはすごい量のパンチの雨だ」

「でもコピーさせたら」

「もうすでにかけに入ったんじゃないか?あいつは」

 その戦いの中チュウは別のことを考えていた

(これで決められないのなら・・・)

 その時敵の腕が動いた!

「くる」

 ガード体制に入る、あの攻めの男が!

「またコピーされた!!」

 チュウは自分が相手に繰り出した分のパンチを浴びた。

「グバァ!!!」 

 地面に伏せる。

「こちらはロボットなのでダメージはありますが彼ほどではありません、こちらが確実に優勢です」

「そうかいで勝つ確率は?」

「ここにあるスーパーコンピュウター「ぴゅう太」に調べさせたところ80%越えだそうです、今の状態で」

「では今後さらにあがると、ふふふ無敵は素敵」

「こんなものを作ってしまうとは私の技術力が恐ろしい!」

 

「見えたぜ」

「「「は?????」」」

 敵味方同時に驚く。

「この戦いの結末がな」

「ふん、走馬燈でも予知夢でも見たのか、もうお前の負けは確定だ」

「確定ではない、パチンコでも80%の演出が出ても外れることはある、そういうことだ、これがその時だ」

「なにをばかなことを、負け惜しみね」

「最初電源かなにかあるんじゃないかと思ったけども探してもなかった、あれだけのラッシュを全身に浴びせたんだ、あるわけない」

「だからあの技を」

「だから決めたぜ、お前を倒す方法を人間ってやつをみせてやる」

 その瞬間チュウさんは飛んだ

「羽が・・・」

「生えた!!」

 彼の肩甲骨のあたりから白と黒の羽が生えていた、それを羽ばたかせて飛んだのだ。

「そうかあいつは触れないで倒す方法を探して」

「違うぞバカ君!そうじゃない」

 そうチュウはSPに突っ込んでさっきと同じ技を繰り出した

「ただの勢いをづけか・・・!!」

「足で!!」

「まだまだぁ」

 さらにチュウの額に第三の目が開き、手が6本になり、腹からは大砲がでてきた。

「なんなのこれはなんなの~」

「いっただろ、人間は成長すると」

「いやもうそれ人間じゃないだろ」

「自分流神拳特盛奥義!男ラッシュ!おまけ付きっ!!」

 その瞬間腹の大砲に光が集まりそして巨大なレーザーを放った。




「コピーが間に合わなかった・・・」

「そんなぁ~」

 黒鉛の中元の姿に戻ったチュウが二人の前に近づいてきた。

「おいお前ら、俺を精神的に殺そうとしたというアイディアはよかった、しかしそれは俺にはきかない」

 さらに近づく

「人間は基本一本の棒が突き刺さって大地に立ってるんだ、もしその棒が折れたり壊れたりしたら人は立てなくなっちまう、でもな誰かが支えてくれれば立つことができるんだよ、片手だっていい、槍で突き刺したっていい、誰かがいれくれる奴は幸せだ」

 ちか、づく

「俺にはそんな奴がいる!たとえその支えてる奴を殺したりしたら俺がそいつを殺すし、それをしなくても俺は誰かがいるから立ち上がれる!だから俺は、絶対に、負けない!!!」

 チュウさんがそう言い切り

「負けた」

「もうおしまいね」

 勝利した。



「さてと、どう後始末つけるかだな」

「この世界にこの能力が知られた以上どうしようもないな、記憶を消す以外他にな」

「しかしよく政府もこんな奴らの言葉を信じたよな」

「なんか監視されていたみたいですよ、私たち」

「とりあえずさっきのやつ、やる気か?」

「やるしかないだろ」

 そういうとチュウは指先から光を出し始めた。

「それは」

「自分流神拳超奥義”胡蝶の夢”、一定期間の現実におきたことを夢と思い込ませる奥義だ」

「へーすごい」

「こんなしょうもないこと夢でたくさんだ」

「そうかもしれませんね、でも思い出ってどんなものでも大切ですよ」

 その日世界中に光があふれた、しかし映像や画像にはあるものの誰一人が記憶になく、夢の中で見たといいこの現象を”光蝶の夢”と呼ばれいつしか誰も気にしなくなった。


                     最終回じゃないよ、つづく

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