第3話 召喚獣との出会い
クラス分けで僕はAとBの二つのうちBクラスになった。
分けられてすぐに待ちに待った召喚獣の召喚が始まった。
召喚獣の召喚は役所か学校などの限定された場所で手続きをしないといけない事になっている。
他の国は分からないけど、メヒティヒ帝国では召喚獣を把握するためにそうしている。召喚獣による事件が起きた場合、すぐに原因を特定するためだ。
もし決められた場所以外で召喚した事が発覚したら、召喚者は罰金と強制労働が待っている。そのためほとんどの人は役所などで手続きをしている。
並んで順番待ちをしていて、あと十人くらいで僕の番だ。
他の人は大蛇とか虎とかを召喚していた。
一体僕の召喚獣はどんな姿なんだろう。できれば怖い顔は遠慮したい。でも仲良くなれたらどんな子でも大歓迎だ。
僕がいろいろな想像を膨らましている間に僕の番が来た。
緊張する。たしか手順は。魔法陣の上に置いてある水晶玉に手をかざして呼びかけるんだ。
おいで、おいで、僕と友達になろう。
呼びかけていると水晶玉が光り出し、収まった時には変な生き物がいた。
やわらかい球体が自らの重さで少しつぶれたような、東洋の島国のダイフクという菓子に似ているかもしれない。その白いダイフクのような体に白い鳥の翼が生えていた。顔にある二つの瞳は水底の深い青のような色だ。そして淡い光をまとっている。
「ぷぅ」
やわらかそうな体をした召喚獣は僕をまっすぐに見つめる。
翼をしきりに動かしホバリングしていたが、羽ばたいて疲れたのか僕の頭の上に落ち着いた。
そっと片手でつまむようにして目の前でよく見てみる。
両手のひら大のその体をつまんだ感触はむにゅっとしていてすべすべしている。そしてつまんだところが三センチくらい伸びている。
その生物はつままれてもおとなしくなされるがままになっている。
僕としては長くいたつもりはなかったのだが、先生に次に順番回せと言われてつまんだまま自分の席に戻った。
そういえばこいつは口があるのだろうかと気になって探すも見つからない。
そうしているうちにクラス全員の召喚の儀が終わったらしく、紙がまわってきた。
「全員に紙渡ったな。それに自分のクラスと名前、召喚獣の名前を一週間後までに提出するように」
解散と教師は続けて教室を出て行った。
名前、名前かー。ダイフクにするか?とバッグを肩にかけて帰る準備をしながら召喚獣の名前を考えているとまた僕の頭の上に飛んできて乗っかった。重くはないけど首と肩に負担がかかりそう。
頭の上が気に入ったのかな?
のんきにのんびりと教室を出た僕は嫌な視線を向けられている事に全く気づく事はなかった。
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